8木ラ1

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木にもたれる。
弱々しい風がこもれびを揺らした。
青い空を背景に雲がゆっくりと泳いでいる。もくもくとしたその雲の隣には暑苦しく主張が激しい太陽。その景色が改めて夏だと私を実感させた。
「あの雲いいね」
「入道雲だね」
ふと呟いた私に君が答える。彼女は本をパタンと閉じ言葉を続けた。
「私が一番好きな雲なんだ。」
そう言う君は嬉しそうに見えてどこか悲しそうだった。私は首を傾げる。
“好きなことを話をしているのに何故悲しそうなの?”
そう聞こうとしたが、すぐに言葉を飲み込んだ。
君の弱音を受け止められる自信がなかったから。私は弱い人間なんだなと自覚する。
「そうなんだ」
ぎこちない返事がより私の気持ちを汚した。君は青空を見ながら頷く。

6/29/2024, 2:06:55 PM