奏汰

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もしも、過去に戻れたら、俺はおまえに会わない世界を選びたい。

「でも、きっとおまえのことだから何度過去に遡っても俺に向かって手を伸ばしてくるんだろうな」

彼がどういう意図でそんな話をしてくるのか僕には分からない。ただ、息を吐くのも苦しそうな顔をして、自身を嘲るように笑っている。

「僕は✕✕✕に出逢えて良かったよ」

心からの本心だった。それに、彼は僕が手を伸ばしてくると言っているけれど、手を伸ばしてくれたのは彼のほうだ。
なんの説明もなく異世界に落とされ、女じゃないという理由で国を追い出された僕を掬い上げてくれたのは彼のほうだ。

1/23/2023, 4:32:20 AM