『無色の世界』
日が回る頃、無人の最寄り駅を出ると、真っ暗な道が続いている。何一つ色はなくて、ただ手元のスマホの明かりと、イヤホンから流れる音楽だけが私を照らしている。
こんな生活にはもう飽き飽きだ。ふと思った。何気なく過ごしているこの日々が、愛おしいものだとわかっていながら、こんなことを考えられるなんて阿呆になったものだ。でも、愛すべき日々だとわかっているから、嫌になるのかもしれない。愛そうとも愛せない日々があるから。今日のように、この無色の世界で、ただ一人で、ゆっくりと歩いて帰るこの瞬間を、私はどう愛せばいいのだろう。
いつか、まるで音楽のような綺麗な世界に生きてみたいと思う。この身を捧げてでも、大切にしたいと思える人に出会いたい。きっとそれだけで、私は救われる。こんな世界から救われる。誰か、私に笑いかけて。一人は怖い。怖いの。
「──なんでこんな時間に出歩いてるのさ」
友人が声をかけてきた。偶然、コンビニに行くところにばったり出会ったらしい。まるで運命だった。きっとあなたは、無色の世界に落とされた、虹色の雫。
4/19/2026, 12:13:20 AM