NoName

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なぜだか武道館に立ち
思い入れのないギターで
弾いたことのないコードを
愛しくかき鳴らしていた
聴いたことのない歌を
叫ぶように熱唱した

歌い終わった僕は
観客の歓声を浴びて
顔を見上げて目を閉じて
身に覚えのない歌手街道を
ひとつひとつ振り返っていた

目を開けるとパジャマ姿で
いつもの部屋にいた
付けっぱなしのイヤホンから
憧れの人が歌っていた

夢の中でちょっとだけ
夢は叶えられた
どんな風に弾いていたっけ
思い出まみれのギターで
おぼろげな記憶を頼りに
おぼつかない手で爪弾いた

「こんな夢を見た」

1/24/2023, 9:57:00 AM