人の行き交う街。冬の気配は雪となり石畳の上から頑なに離れようとしない。それでも尚活気づいている市場を前に、俺は立っていた。
雑踏の中、俺の周りだけは静かだ。
目の前には親友が居る。その顔は、不自然なほど安らかで暖かい。
これは夢だ。そうだ、きっと夢なんだ。そうでなければありえない。だって親友は、とうの昔に……
気付けば周囲は誰も居なくなっている。俺の姿は過去の姿に戻り、親友は消えた時のままの姿でそこにいる。
誰も居ない、俺と親友だけの夢。
そこから醒めたいなんて、思う訳がない。
…………夢とは残酷なもので、親友に触れた途端に目が覚めた。布団の外に触れている手は冷たく、ここが夢とおなじ雪国であることを思い出させる。
その手はあの時触れた手だった。俺はその手から感触が消えていくのが恐ろしくて、もう一度眠気を手繰り寄せた。もう会えない、親友の残滓を求めて…
《夢を見てたい》
1/13/2026, 2:57:56 PM