人間の心には小さな灯りがある
希望や目標に近づくと灯りは次第に大きくなる。
希望や目標に遠くなると灯りは次第に消えていく。
私はその灯りが見える能力がある。
幼少期の頃には皆見えるのだと思っていた。
自分の能力に気づいてから、私は看護師になった。
少しでも人々の弱っている灯りが
大きくなって欲しかった
冬のはじまり。街も輝いて、
子どもや大人の心に灯りが付く。
クリスマスはみんながとても楽しみにしている。
だけど、その楽しみな気持ちが味わえない
子どもたちだって沢山いる。
弱った体で毎日病と戦っていたり
家庭環境のせいで傷ついている子たち。
そんな環境で病と戦う1人の女の子が入院してきた。
その子の担当になってから毎日会う度に
「今日も頑張ろうね」と伝えていた。
心開いてくれなかったあの子も
徐々に話してくれるようになった
「退院したら、お母さんと一緒に遊園地に行くんだ!」
そう笑顔で私に伝えてくれた。
『お母さんもきっと喜ぶと思うよ。』
あの子にはまだ生きて欲しい。そう思った。
あの子は自分自身の余命が
わずかだと分かっていたのに。
心の灯りは大きいままだった。
だけど、そんな彼女の心の灯りも
月日が経つと徐々に消えかかっていく。
あなたはまだ生きるべきなのに。
あなたは必死に戦っているのに。
私は何もしてあげられなかった。
私は彼女の手を握って、
『頑張れ』と言うしかできなかった。
もっと幸せにしてあげたかった。
だけど、そんな彼女は、私の手を握り返して
笑顔で声を絞り出して言ってくれた。
「あ…りが…とう…」
「…来世でね…。」
あの子には、幸せになって欲しい_
11/29/2024, 11:45:19 AM