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『寂しくて』


寂しくて誰かの温もりを求めてしまう。
そんな自分が嫌で自身に罰を与え、自身に赦しを乞う。
人々はそんな私を見て邪険に思う。
タコだって、自分の腕を噛むことがある。
なのに、なんで私が噛んだらダメなのですか。

スマホの画面が光るたびに、誰かじゃないことに安堵し、誰もいない小さな部屋に1人、ため息を着く。

タコが墨を吐いて逃げるように、私は言葉で逃げる。

その度に苦しくて、胃がぐるぐるして、頭がおかしくなりそうになる。
喉が閉まり、呼吸がしずらくなり、どれだけ手を伸ばしても触れられない。


次の日、会社へ行くと、私の好きだったプリンが置かれていた。

“せーんぱい、お疲れさまです!
このプリン、私が作ったんです。
先輩最近追い詰めてませんか?甘いものでも食べて、少しでも気を休めてもらえたらなーって。よかったら食べてください。“

私はくすりと笑った。


──あぁ、いつぶりに、わらっただろうか。
ハッとして、振り返ると、あの小さな後輩がいたずらっ子な顔をし、小さく手を振っていた。

11/10/2025, 11:33:52 AM