とーる

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無色の世界で生きている
誰からも見えていないのだろうか
こちらからはよく見える
行き交う人々の様々な表情が、感情が
彼らの目に映る景色が
彼らの世界は何色なのだろう
この眼じゃすべてが色を持たない
面白みのかけらもない世界しか見ることができない

と思っていた
淡い虹色の、光のようなあの人が現れるまでは
あの人の周りはいつもきれいな色で溢れていた
思わず見惚れた
あの人を見ていると心が洗われるようだった
あの人が見ている世界を知りたいと思った
吸い寄せられるように、気がついたらあの人を眺めている
いつの間にか無色だった世界が
水彩絵具を落としたかのように淡く色づき始めていた

4/18/2024, 1:23:28 PM