【天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、】
天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、違う話。
「天気じゃなくて、違う話もたまにはしようよ。例えば明日のこととか。」
久しぶりの遊びの予定だった。日時は決まっているくせして場所のことなんてお互い何も言っちゃいなかった。それに、前々から、行きたい場所があるなんて聞いていたからちょうどいいんじゃないかって思った。
「あー、場所? それなら、行きたいところがあるんだけどさ。」
「そう、場所。行きたいところ聞かせてよ。」
明日は早めの夏祭りだからそこに行きたいとでもいうんだと思っていた。天気がいいから祭りは絶対にやるだろうし。
「水族館行きたいんだよね。ほら、俺って明日誕生日じゃん?」
誕生日、忘れていたわけじゃない。むしろ、遊びの予定を立てる時もそれを理由に立てていたはずだった。けれど、こいつが小さい頃の誕生日に親の急な用事で水族館に行けなくて心残りが残っていたことは知っていた。だから、誕生日の日に行く水族館は嫌だと思っていたのに。
「水族館に行った後に祭り行こうぜ。祭りって、明日だろ?」
「確か明日だけど。なんて欲張りセット。」
言っていて笑えて来てしまった。僕の笑いにつられてこいつも笑う。水族館に行けなかったことを話したときも、今も。変わらない笑顔で笑うんだ。だから、僕が天気よりしたい話は違うこと。どうだっていい。
「いいよ、僕の明日は全部お前に預けてあげる。」
5/31/2023, 3:06:23 PM