300字小説
神様のおふるまい
冬休みの晦日の日。村の裏山にあるお社の煤払いに行く。石段をを登りながら、俺達はワクワクしていた。
「何が起きるのかな?」
掃除していた子供の数が一人多くなる等、いつも、この煤払いは不思議な事が起きると言う。皆で蜘蛛の巣を払い、縁を拭き、ドキドキしながら手を動かしているうちに社の掃除は、あっという間に終わってしまう。
「綺麗になったなぁ」
世話役のおじさんが目を細めて、焼き芋をくれた。
何も起こらなかった。ガッカリして石段を降りて戻ると、おじさんが
「ぜんざいが出来ているから食ってけ」
家に誘ってくれる。
「おじさん、さっき焼き芋くれたじゃん」
「えっ? 今年はこのとおり、俺は足を挫いたから、お社には登ってないぞ」
お題「冬休み」
12/28/2023, 12:38:03 PM