好きな本——
真っ先に思いつくのは、
ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』。
父が、仕事関係の人から「本好きな子なら夢中になるはず」と言われて、映画のチケットを持ってきたのが出会いの最初。
日本語版の原作本も注文してきたと言っていたので、私はとても楽しみにしていた。
本はまだ届いてなかったので、最初に映画を見た。
想像するだけだったファンタジーの世界がリアルに表現されていて、私はその世界の虜になった。
今でいったら、異世界転生——ならぬ、転移物、というのかな。
多分その祖ともいえる作品だと思う。
そりゃあ夢見がちな子供は夢中になるよね……。
一緒に映画を見た父は辛口批評をしていたけれど、映画の多少の粗なんて、私は想像力で十分補えていたから、お話の世界に心底惚れ込んでしまっていた。
そうして一週間後ぐらいに届いた待望の原作本は。
分厚くて、重い、立派な本だった。
お話の前半は、映画通り——
当然だけれど、映画より濃密に描かれた世界に時折キツさも感じたけれど、夢中になって読み進めた。
けれど、二部に入って。
読み手側だった男の子が、本の中の世界に入って真の主人公として話が進んでいくと。
読むのが段々と苦痛になってしまった。
読み手側だった男の子の性格がどんどん歪んで共感できなくなってしまったし。
前半の、本の中の物語の主人公側だった少年との関係が決裂してしまったことは、本当に辛かった。
読み始めたら一気に読み上げてしまう私が。
初めて一旦、読むのをやめてしまった。
丸一日続きを読まず、彼らのことを色々考えてしまった。
本の中の人物のみならず。
子供が読む本に、こういう展開は必要なのだろうか、なんてことまで考えた。
苦痛ではあったけれど、結末はやはり知りたくて、また読み始めた。
ページが進むと、まさに仰天する、もっと重い展開が待っていて。
けれど今度は、読むことを止められなかった。
読み手側の男の子が現実世界に戻る経緯あたりは、すすり泣きしながら読んだ。
読み終わったあとは、良かったと安堵したけれど。
ただ、めでたしめでたし——ではない終わりだから、その後についても色々考えさせられた。
自分だったらどうなっていただろうか、なんて思いを馳せたり。
子供の頃、この本に出会ったことは私にとって大きな意味があった。
だから息子にも読んでもらいたくて買ったのだけれど——長過ぎる、と途中で放り出されてしまった……。
私が買ってもらった本は、実家に置いてきてしまったし。
息子に買った本は、引っ越しの際に息子自身が破棄してしまって、今は手元にない。
思い出したら読みたくなってしまった。
電子版もあるかな、調べてみよう。
……なかなか勧め辛い本だけれど。
機会があったらぜひ最後まで読んで欲しいなぁ。
そしてどこかで語り合いたいな。
この本だけは、読破した人でも熱く語り合えた記憶がないから……。
あ。
だけど私は思いが溢れて言葉にならないかもしれない。
ハイッ、ダメ〜!
6/16/2024, 8:00:35 AM