やなまか

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二人して大草原の真ん中にいた。ポップは手を空に伸ばしてみる。
「でっけえな。世界は」
ポップの真似をして、隣に居るダイも片手を空に透かしてみる。2人が再会してから1ヶ月経っていた。
手ひらの向こうには、抜けるような青空がつづいていた。
「大事なもの一つ探すにゃ広すぎるぜ」
「でも空は繋がってるよ。いつかは見つかるって思ったろ。ポップなら」
「へへっ。詩人だな」
自暴自棄を起こした日もあった。無理がたたり空から落ちたことも。仲間にひどく当たった日もあった。飲めない酒に頼った日だってあった。
そろそろ別れの時間だ。
(そんな綺麗なもんじゃねぇよ)
見苦しい姿を見られなくて良かった。いや、ダイになら、のたうち回る自分を見られても平気だったかもしれない。

やがてダイが音もなく立ち上がり指笛を吹いた。
1人乗り用の飛竜が旋回しながら降りてくる。キィと鳴く立派な顎を撫で、手綱の様子をたしかめている。
「おれの勇者は世界をひとっ飛びだ。かっこいいねぇ」
「ポップもだろ」
なんだそれ。意味わかんねぇな。
「またな」「おう」
おれ達は拳をぶつけ合う。
次の瞬間おれの勇者は竜の背の人になっていた。

10/23/2023, 12:13:26 PM