「私の好きな本」
今日は珍しく私について書こうと思う。
何を隠そう乙一氏の本である。学生の頃、毎日ひとりぼっちで馴染めなかった私は、多読家ではなかったものの目に付いた本は一通り読んだ。それしか娯楽がなかったのである。
司書の話はほとんど聞いてなかったしどういうきっかけだったかは何一つ覚えていない。短編集だったきがしてきた、ひとつおもいだした。
とにかく乙一氏の文章は私にとって魅力的で、校舎の気の甘い匂いがたらふく吸い込まれた図書館の本の表面ふわりと浮き上がり、視神経を通って私の脳の表面に吸い付くようだった。
描写はまるで今そこに私が追体験しているように景色を描くが決して助長すぎない。
しかし世の中を見てみれば村上春樹氏のように崇拝されていない。なぜだ。
ともすればきっと
目に入ったものを思考するスピードや反芻するリズムそれらがきっと私のそれと合ったのだろう。
人の料理も人の味覚も千差万別であるように
文章への味覚もまた千差万別であるのだろう。
私かこんなにも感動した乙一氏も他の人間からすればただの文章なのであろう。
だが私はいまここに書き連ねている。それは彼の文章に興味を持ち手に取る人が少しでも生まれてくれればと思っているからだ。
1人の読者として心動かされた分を返したい。
そしてあわよくば某氏の創作意欲を掻き立ててしまいたい。
だがそんな本音は置いておいてどうか毛嫌いせずに色んな本を読んで欲しい。なんのも面白みもない表現だが、きっと運命の出会いはある。
6/15/2023, 11:06:21 AM