憧れ

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子猫

ある日突然僕らは惹かれあった。


まるで神様が導いているかのように。

その子は家の前で小さくうずくまっていたのを今でも忘れられない。
初めは迷惑だと思って近付いたがその子の目を見たら胸が締め付けられるような感覚になり、

運命だ───


僕はそう思った。
それから僕は僕の片割れであるかのように毎日一緒に寝たり、映画を見たり、ご飯を食べたり、ごく普通の生活を送っていた。

幸せだ。初めて心から思った。
でも、僕は癌だ。残された時間があと少ししかない。
生きる意味なんてもう無いのにその子ためにどうしても生きたいと思うなんて。ついこないだの早く死にたいと思う僕に言ったら笑われるだろうか。、

そんなこと関係ない。
これは僕の人生だ。僕の片割れのその子、、、いや、ベル。子猫のベルは、僕に生きる理由を与えてくれた。だからせめて僕が死ぬまでにはベルが幸せだと思う生活を僕が作ってあげたい。

ベル、お前は長生きして僕の分まで生きろよ、

そう言った後にゆっくりと僕は目を閉じた。





11/15/2023, 11:20:34 AM