わをん

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『目が覚めると』

いつものように布団に入りいつものように目が覚めると辺りはいつもの部屋ではなくなっていた。
ゲームやマンガでしか見たことのない中世のお城のような天井の高くて柱が立派な一室に、魔法使いのローブを纏った人や鎧を着込んで槍を持った兵士、王冠を頭に乗せた顔のいい若者が一様に驚いた顔をして、召喚が成功したとかなんとか言っている。
「あの、盛り上がってるところ悪いんだけど、何なの」
聞けば古から伝わるとされる世界を救う存在を喚ぶ儀式を執り行い、結果わたしが床に描かれた陣に突如として現れたということだった。
「なるりょ。お呼ばれされたらやらないわけにもいかないね」
世界を救うという言葉にはいろんな事象が含まれていると思う。それはあちら側からすれば平和を脅かす存在を打ち倒して平和を取り戻すという解釈なのだろうけど、それはわたしの得意分野ではない。そこに存在するものをすべて破壊しつくすことがわたしの得意とする世界の救済だ。
「来世が善きものでありますように」
綺麗さっぱりなくなってしまった世界に手を合わせて祈りを捧げる。そして新しい布団を敷き直したわたしは一仕事を追えた満足感とともに二度寝の体勢に入った。

7/11/2024, 3:50:48 AM