「もう学校行くの?」
お母さんの声がする。その苦しそうな声は、いつもわたしを締め付ける。
「ごめん、お母さん」
「……別にいいのよ、私が独りになるだけだから。いってらっしゃい」
そんな思いをさせたい訳ではない。わたしはただ前に進みたいだけなのに。いつもお母さんが邪魔をする。私を置いていかないでって、叫び続ける。
「いや、今日は学校に行くのやめるわ。わたし、お母さんと話していたい」
わたしもわたしだ。お母さんと居ることを拒絶したいのに、結局は一緒に居ることを選んでしまう。
「それは……お母さんも嬉しい。ねえ、なんの話をする? お母さん、この前言っていた好きな人の話を聞きたいわ」
お母さんの所為で学校に行けないのに、お母さんは青春の話をすることを強要する。好きな人も、友達も、いないのに。
「えーなんか照れくさいなあ」
「どんな子なの? あなたあんまり話してくれないから分からないわよ」
最後は嘘をつく。わたしの妄想の世界をお母さんに話す。それしかできないから。妄想のネタすら尽きてしまいそうだけれど、わたしは話続けなければならない、
#手を取り合って
7/14/2023, 1:18:13 PM