苦しみと恐怖で埋め尽くされた頭は「もうやめたい」以外考えられなくなっていた。こんな仕事なんて放って、誰も知らないどこか遠くへ出かけたい……。考えてもできないくせに、妄想に逃げずにはいられなかった。
辞めたい。けど……そうしたらみんなはどうなる?
一人抜けたら、その分みんなの負担が増える。ただでさえ手がまわらない量なのに、これ以上になったら……。考えはいつもそこで止まる。自分が辞めなければ起こらない話だから。
久しぶりに家に帰れた日、なんとなくほこりのかぶったテレビをつけてみた。たまたま流れていた、電車の人身事故のニュースを見てひらめく。
最後の手段はすぐそこにあると分かった私は、もう無敵だった。
『たった一つの希望』
3/2/2026, 11:10:45 PM