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ハッピーエンドで終わらせるのなら、
今この時が死ぬのに丁度良いと身をもって思うのです。
貴方と一緒になれて共に過ごせるこの時こそ、
最高の死に時でありましょう。
だからといって、この幸せ時に私は貴方を置いて死ねる程、自分の最期に拘っておりません。
もし、この時から段々と幸せがすり減ってゆこうとも、
貴方と一緒におれるというのなら私が死ぬ時は
どんなに苦しくても惨めでもよいのです。
貴方と共に死ねるのなら、
病にかかって痛くても、貧窮に陥って腹が減ろうとも、私にとってはハッピーエンドです。
ただ、我儘かもしれませんが、私の最期には貴方がいて欲しいのです。だからどうか健康には気をつけて貴方だけはずっと幸せであって欲しいです。
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男が妻になった心の綺麗な優しい女に、雪の降る中掛けたこの言葉において、男が懸念していた苦しみを伴った荒波は来る気配もなく、男は妻と共に最後まで平穏なまま幸せな生活を送った。
妻も男を心から愛していたので、男が四十年程前に話した願いを叶えてやった。
男は幸福の海の、深い、深い所で妻に見守られながら死んだ。然し悲しいことに、其の時から女の方の幸せは途絶えた様であった。
3/30/2026, 3:42:34 AM