夕焼けを背にした君が、この世で一番綺麗だ。亜麻色の髪が、オレンジ色の背景に映えている。右耳のイヤリングが、サイドテールを結ぶリボンが、その弾けんばかりの笑顔が、すべてが夕焼けに馴染んで、絵画のようにわたしの記憶に残る。これほどまでに美しいものを、わたしはこの後の人生で見ることができるのだろうか。そう思った。
いや、見れるようになる。この気持ちを伝えることができたなら、君がそれを受け入れてくれるのならば。わたしは、君の隣に、ずっといたいと思いました。その一言さえ、君が受け入れてくれるならば、きっと毎日、わたしの世界の一番綺麗なものは更新されていって、留まることを知らなくなる。きっと明日も、夕焼けの君を、ココロのレンズに収めて、フォルダーがいっぱいになるまで、写真をとりまくる。
……受け入れてくれるのならば、の話だけど。
「わたしね、1年後くらいに、結婚式挙げようと思ってるんだ。まだ招待客とか詳しいことは全然決めてないんだけど、今のうちに伝えておこうって思って。」
「おめでとう。……学生時代から7年続いた、あの彼氏さん?」
「うん! わたしもあの人も一途だもん、お互いしか考えられない、っていうか……。いや、そういう話じゃなくて。結婚式、来てくれるよね? わたしの一番の親友。」
君が綺麗なのは、大好きな人の話をしているから。わたしじゃない誰かに、ココロを奪われているから。わたしは一番の親友であっても、一番君に愛された人ではなくて、一番君を綺麗にできる人でもないんだ。
「うん。結婚式来るよ。スピーチもしようか?」
それでも、わたしはきっと、明日もこのココロの痛みに耐えながら、世界で一番綺麗な君を思い出すんだろうな。
9/30/2024, 2:38:36 PM