いぐあな

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300字小説

愛の力

 君に会いたかった。恒星間通信の画面越しでもなく、VRのアバターでもなく、直接、君に会って声を聞き、触れたかった。しかし、君と僕の間には何百光年という距離がある。
 だから。
 通信や映像では確立していた技術を人の移動にも広げる。きっと、君に会う。その一存で僕はひたすら研究を進め検証に励んだ。

「……愛の力って偉大よねぇ」
 惚気けるおばあちゃんに思わず、息をつく。
「いくら、おじいちゃんがワープ航法を生み出したからって、そんな恥ずかしい冗談を……」
 肩竦める私の脇をすり抜け
「あなた!」
 庭から入ってきたおじいちゃんの腕に、おばあちゃんが抱きつく。
 チャーミングな笑顔におじいちゃんがデレまくる。私は思わず空を仰いだ。

お題「君に会いたくて」

1/19/2024, 1:38:45 PM