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あいまいな空

今日の空はハッキリとした夏空だった。
夕方に空はどんよりとした雷雨を予感させた。

今日はハッキリとした空だった。

もう、夏なんだな、、、。

1年が過ぎたのだ。
1年は早いと言うが
1年は短いようで長く結構色々な事があると彼女はカレンダーを見て思っていた。 

癌センターにセカンドオピニオンを求めたのは
去年の5月の終わりでした。
結果は、同じでした。

6月はじめ家族で温泉に行きました。
石切神社へ御参りに行きました。

7月はじめ早朝救急車を呼び再入院しました。
ラインの返信が無くなりました。

7月終わりの赤い月の昇る夜呼び出され
翌日彼女は旅立ちました。

8月お盆彼女の誕生日のお祝いを
彼女の好きな桃のケーキでお祝いしました。

写メを最後のラインに送りました。

10月はじめ彼は余命を越えました
慌てて彼女の納骨を済ませお仏壇を買いました。

本当は二人一緒に納骨するつもりで私たちは
心づもりしていました。

それを知ってか知らずか秋は早足で去り
冬が来て年が明けました。

年明け後息子は介護休暇を取りました
あまりに突然そして早かった彼女の闘病を目の当たりにし、そんな気持ちに駆られたのでしょう。

不良息子は一所懸命
親孝行の真似事をしました。
仕事はすっかり子供と妻に任せ24時間側にいて一緒に座頭市を観たり蕎麦屋に行ったり喧嘩をしたりしました。

春が来て、桜が散りだしました。
彼は息子に仕事に戻れと急かしました
説き伏せられた息子は後ろ髪引かれる思いで
仕事に戻りました。

やがて、桜の花がすっかり散って
葉桜になった日に
彼女が迎えに来たのです
彼は「あっ」と声をあげて
静かに目を閉じて彼女の元へ旅立ちました。

そして、今年の5月末彼女が癌センターで
余命いけばくもないと告げられた日から
1年が経ちました
彼も旅立ち納骨が終わりました
今、二人の遺影が並んでいます。

義父さん義母さん
毎日手を合わせています
1年は短いようで長いですね
ハッキリとした空があったり
あいまいな空があったり。

晴れたり曇ったり
雨に降られたり
正しかったり正しくなかったり
間違ったりしながら
短いようで長い1年がまた巡ります。

あいまいな空だったり晴れ渡ったりしながら
生きて行きます
あなた達の息子さんと共に。


2024年6月14日

            心幸 





6/14/2024, 2:57:24 PM