なつめぐ

Open App

『晴れのち、曇りのち、雨』


プルルルル、プルルルル……

携帯が軽快な音を鳴らして着信を知らせる。画面に写った名前を見て心臓が跳ねる。持っていたカップを机に置いて電話に出た。

「はい!もしもし!」

「…久しぶりね」

「はい!お久しぶりです、先輩!!」

電話を掛けてきたのは先輩だった。

「今、大丈夫?」

「はい!今日は非番なので、家でゆっくりしてた所です!」

「そう…悪いわね」

「いえ!先輩から電話を掛けてもらって嬉しいです!」

「そう…」と先輩が薄く笑った声が聞こえた。

「先輩が電話だなんて珍しいですね?どうしたんですか?」

「……辞表を出してきたの」

「……え?」

先輩の言葉に衝撃を受ける。スマホを握る手に力が籠る。

「やっぱり私には内勤は合わなくてね……」

「そう、ですか……」

「……それを伝えたくてね、じゃあ…」

「…先輩!!」

何か嫌な予感がし、大声を出して先輩を呼び止めた。「…何?」と聞く先輩に震える声で問う。

「また、会えますよね…?」

先輩はしばらくの沈黙の後、「会えるわよ」と言った。

「じゃあ、私これからやることがあるから。じゃあ」

今度こそ切れてしまった。暗くなってしまった携帯電話を見る。私の心は黒い雲に覆われているようにどんよりとしていた。






緊急要請があり、出勤を余儀なくされた。
制服に着替えて玄関に向かう。ガチャリと開いた扉から入ってきた人物に目を見開いた。

「せ、先輩……?」

驚いている私を見て先輩はふっと笑った。

「ほら、会えるって言ったでしょ?」



【今日の心模様】

4/24/2026, 12:11:11 AM