こぼれたアイスクリーム
甘くて冷たい液体が手首を伝う。
君からのオーダーが入る。
好きだった。
そんな事言うなよ。
過去形にして蓋を被せるなよ。
俺はまだ好きだ。
そんな思いも儚く溶ける。
まるで零れたアイスクリーム。
ストロベリーよりも甘い。
なのに後味は抹茶より苦い。
そしてラズベリーより酸っぱい。
楽しかったのは自分だけ?
気持ちも行動も空中ブランコ空回り。
頭もカラースプレーで霞む。
ラムネのように思考が弾ける。
バニラよりもクリアなのに。
チョコレートよりも執拗い気持ち。
分かりきった最後だけどさ。
まだ君からのお代は足りてない。
本当は諦めきれてないんだろう。
瞳が揺れてるから。
下唇に朱が滲むくらいの抑制。
何がそうさせているのか。
シークレットだから分からない。
いつか答え合わせをしよう。
それまでまだ味わっていいかな。
君という名の冷たい甘味を。
始めより温くて。
最後は淡く僕の手から零れる。
そう分かっているからこそ楽しいんだ。
8/11/2025, 1:42:55 PM