ゆう

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「運命の人と出会える確率って0.00034%なんだって~」
「めっちゃ低いよね~」
学校の帰り道、友達の空美が独特の間延びした声で言った。

空美はNewtonを毎号楽しみに読んでいて、
先号は確率の特集だったらしい。

「そうなんだ」
「それって、ほぼ出会えなくない?笑」
空美の匂いを感じながら、私は言った。

空美はいつもふわふわしていて、
今日もふわふわしていて、
洗い立ての制服は白くてふわふわしていた。
いい匂いがした。

「だよね~笑」
空美はニコニコしながら答えた。
その笑顔に私もついニコニコしてしまう。


………
空美とは、ある雨の日に出会った。
まだ子供の頃、今よりずっともっと子供の頃…。
私は、なぜだかわからないけれど、雨の中を裸足で歩いていた。

雨に濡れながら…傘も差さずに…、歩いていた。

やがて公園にたどり着くと、
砂場で女の子が傘も差さずに一人立ち尽くしていた。
周りに友達らしき子はいない。
いたとしてもこの雨だ。帰ってしまったんだろう。

足元を見るとその女の子も裸足だった。
なにがあったのかはわからないけれど、
その女の子の目の前には大きな砂のお城があって、
そのお城が雨で崩れていた。

たぶんその女の子が作ったお城なんだろう。
女の子はそのお城を見つめたまま立ち尽くしていた。

その姿にふいに記憶が思い起こされる。

友達のいない私は、
同じように一人で砂のお城を作って遊んでいて、
それが雨で崩れてしまったことがあったっけ。

きっとこの女の子も同じなのかな?
そんな状況が重なるなんて、珍しいことだと、
きっと幼少期の私でもわかったんだろう。
それこそ運命の人と出会える確率と言われている
0.00034%くらいのことかもしれない。

シンパシーを感じた私は、なぜだかわからないけれど、
その女の子に声をかけたんだ。

なんて声をかけたかは覚えていないけれど、
その女の子は私を見てにっこり微笑んだ。


それから二人で雨に濡れながら、
一緒に少し遊んだ。


少し経つと、気がつけば雨は止んでいて、
夕焼けが私たちを照らしてくれた。





『雨に佇む』 ☔おわり

8/28/2024, 9:59:40 AM