無い。と、言いきれてしまうのは、わたしがあまりにも”それ”に執着しているからだろう。
「いつもありがとう。」って、わたし以外にも見せていると理解しているはずの笑顔が何よりも愛しかった。それがわたしにとっての癒しであり生きる意味であり、愛だった。
そんな笑顔を見ることができるのは、いつも夜だった。ある時は繁華街のネオンに照らされて、またある時は薄暗い店内。わたしが1番好きだったのは、ホテルの一室で見る時だった。机の上には少しふくらんだ封筒と指輪、灰皿には吸いかけのたばこ。
抱きしめられた時に香る甘いバニラの匂いが何よりも心地よくて、その為にわたしは今日も働く。明日も明後日も、その瞬間を夢見て。
いつか聞ける、「愛してるよ。」を、夢見て。
-お金より大事なもの
3/8/2026, 3:22:24 PM