ぼんやりとした、霞がかったような曖昧な記憶。
それの境目はどこにあったのか。
いまとなっては思い出せる気もしない。
けれど、確かにそれはあって、通過してしまったいくつかの記憶にも経験にも重ならない、判然としないもののはずなのに、自分の中に残っているのだ。
きっとこれからも残り続ける。淡く、拙く、想いを馳せれば、鼻の奥が、つん、と鳴いてしまうような、懐かしさを引き連れて。
自覚よりもっと以前に、落ちていた。
いつの間にか、始まっていた。
きっと、そんなものなのだ。
『初恋の日』
5/7/2026, 12:44:07 PM