星嶺歩王

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僕が夜の廊下を怖がっていた時、兄さんは
「おれがいるからこわくねぇよ」
と笑いながら言ってくれた。
兄さんがいなくなってから、僕は全てが怖くてたまらなかった。
僕から兄さんを奪っていった全てが怖くて憎くて
でも、どうしても諦めきれなくて。

僕は警察官になった。
法と金が渦巻く世界で。
「怖い」なんて言葉、使った瞬間堕とされる世界で。
僕は「正義」を武器に闘うことを選んだ。

そして今は、何かを憎しみ、何かを拒み、怖がっている兄さんのために。
血で滲む視界の中、同じように血まみれの兄さんの手を掴むように。
今できる精一杯の笑顔で。

「僕がいるから…怖くないよ…」


参考
A.デュマ「モンテ・クリスト伯」
カブキカフェナゴヤ座「GANKUTSU-O~復讐の鎮魂歌~」
より

3/17/2026, 2:40:35 AM