H₂O

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とりとめもない話


「寒いね」
雪が降った日、君はそう言った。
「暖かくなってきたね」
桜が芽吹いた日、君はそう言った。
「暑いねぇ」
灼熱の日差しが注ぐ日、君はそう言った。
「もうすっかり肌寒くなってきたね」
紅葉が深まる日、君はそう言った。

なんてことない話ばかりしてきたと思う。肝心なことには一切触れず、当たり障りのないような話題を取り上げていた。
それでも、たしかに君のことが好きだったし、愛していた。はず、だ。
でも、それももう終わりだ。たった一言で終わったこの関係が、あまりにもあっけないものだったと今更ながらに気づく。
君とともに歩んだ一年が、今もまだそこにあるような気がして。
もう君は隣にはいないけれど、移り変わりゆく季節をともに感じることはできないけれど。
どうか、次は君がちゃんと幸せになれますように。
まだ君のことを思い出してしまうけれど、思い出にするには心の準備ができていないけれど。君の幸せだけは祈りたいんだ。

12/17/2022, 1:51:29 PM