いと

Open App

掃除機をかける音で目が覚めた。

今日の太陽は随分と機嫌が良いようだ。
彼が家事をする横でスマホをいじるのも気が引けるので布団でも干してみる。

掃除を終えた彼がコーヒーをいれてくれる。いつもはブラックを飲む彼がミルクと砂糖を入れる。私も真似して今日は甘めのコーヒーだ。
甘さとあたたかさがスっと心に溶けてゆく。

何とはなしにテレビをつけてみた。ぼんやりとワイドショーを眺める。内容はあまり頭に入ってこない。

気づけば彼は隣で本を読んでいた。

私はお昼ごはんの支度にとりかかるとしよう。
今日のお昼ごはんは昨日の残りの唐揚げがメインだ。お米を炊いて、冷蔵庫に少しだけ残ったお野菜たちは適当に切ってスープにする。

もうすぐ炊ける白米の香りとコンソメの香りで部屋が満たされたころ、彼がキッチンを覗きに来た。
唐揚げをレンジにかけてくれる。これだけの量では不満なのか、冷凍庫からストックのたこ焼きを取り出してチンしている。

ご飯とスープも盛り付けて、さぁ、お昼ごはんの時間だ。
今日も少しだけ微笑みながら彼がご飯を食べてくれる。私はそれだけで幸せだ。

食器を片付けたらいよいよ本格的なダラダラタイムのはじまり。彼は本の続きを読み、私はずっと見たかった韓ドラを一気見する。

彼は別にあたたかい言葉をくれるわけじゃないし、気の利いたこと一つ言ってくれた記憶はない。
でも彼の隣はいつもあたたかい。私の居場所はここなのだと言ってくれてるような気がする。

静かな日曜はゆっくりと過ぎていく。

8/29/2024, 2:58:00 PM