「ふたりだけの写真」
「あーそうかぁ、そうだよなぁ……」
「どうしたの、頭抱えて」
「いや、ほら、披露宴で流す映像で使う画像探してるんだけど」
「うん」
「俺たちの場合、友人関係だった期間があまりにも長いからその……」
「その?」
「恋人らしい写真が、ない……」
「みんなと撮った写真ならあるでしょ」
「あるけど、あるけどさぁ!」
「どうせみんな私たちのことわかってるから、いいんじゃない?」
「え……いいの……?」
そもそも、友人関係だった期間が二十年超えてしまった理由の大半は、そちらにあるのだ。今さら何を言っているのだろう。「やっとくっついたか」と共通の友人全員に言われたことを思い出してほしい。
「いいなら、いいけど……」とか「なんかなぁ」と呟いている彼を見つめる。
ぶつぶつ言っている暇があったら、使う画像選んでほしい。というか、言いたいことがあるならハッキリ言ってほしいのだが……
「じゃあ、今度の休みにどこか出掛けて撮る?」
私の提案に、ぱぁっと嬉しそうな顔をする彼。
愛いやつめ。
あー、私も大概だなぁ……
────友だちの思い出
7/6/2024, 2:34:23 PM