ー本当の君ー
扉を開けばまた扉
どこまで続いているのか分からない
扉を開くたびに見えてくるのは
優しくて明るい光景
そして、とても暖かい
なのに、分かりづらいくらい少しずつ
色鮮やかな部屋が色褪せていき、
物や装飾で飾られている部屋が殺風景に変化している
そして、君が、どんどん小さくなっている
そうか。ここは君の心の中なんだね
いつもの笑顔が消えていく
前を向いている目は下を向いていき、
姿勢が正しい君の背中は丸まり、肩も下がっていく
ようやく辿り着いた最後の部屋を開けた時、
君は広い部屋に一人で俯いて座っていた
ああ、やっと「本当の君」を見ることができたんだ
だから僕はゆっくりと近づき、
壊れてしまわないように優しく君の背中を包み込みながら隣に座った
君が鍵を開けてくれたからここまで来れたんだ
ありがとう
これからは僕がずっと隣にいるから、
もう一人じゃないよ
その代わり、僕しかここの部屋を開けないでね
11/14/2023, 4:31:31 PM