スープ

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初日の出は見なかった。見られなかった訳ではない。私は太陽が嫌いだから初日の出なんか見てやらないんだ。ただ存在しているだけで崇められ、頼んでもないのに図々しく燃え上がって。それで嬉しそうに張り切ってる太陽。大嫌いだ。うるさい。
私の好きなものは何かって聞かれたら困る。嫌いだよ何もかも。全部を嫌ってる私自身も嫌いだし、それを若者特有の閉塞感みたいな言葉で片付ける大人も嫌い。私が生きている数少ない理由はお腹が空くからなんだろうなって思う。何を好いても嫌っても時間が経てばお腹は空くし空腹を満たすには食べるしか無い。食べるには生きるしかない。ダイエット?そういうの一番嫌い。馬鹿みたい。今日の朝食は冷凍パスタにする。おせちは自分じゃ作れないしスーパーのは売り切れてた。冷凍庫からボロネーゼだけを取り出して電子レンジに突っ込み「あたためスタート」を押す。いつも思うけど電子レンジの光はどこか春の陽光に似ている。だからといってレンジが嫌いな訳ではない。むしろ感謝しているといってもいい。母の形見。母は太陽が大好きだった。雨の日は機嫌が悪い位だった。そしてとても優しい人だった。二年前火事で死んだ。チーーーン。ボロネーゼができた。死んだ人に構っていても仕方がない。それでも母を思い出して唯一太陽の良いところを一つあげるなら奴は毎日昇る。明日の日の出は見ようかなと思った。ボロネーゼは別に美味しくはなかった。

1/4/2023, 4:56:28 AM