彼は多くの罪を犯してきた。宝物のように思っていたあの子を守る為に。
彼は捕われ、冷たく堅牢な牢獄に繋がれている。数々の罪をその命で償う日が来るまで。
鉄格子越しに臨む夜闇が徐々に白んでいく。今日も長い一日が始まる。
独房に満ちている深々とした静寂を、複数の靴音が破った。
無機質で規則的な靴音が近づいてくる。やがてそれは、彼が収監されている独房の前で止まった。
ああ、ついに罪を償う日がやってきたのか──。
解錠され、扉が軋みながら開かれる。それは、贖罪の時を告げる瞬間を意味していた。
テーマ【時を告げる】
9/7/2024, 9:45:28 AM