48g

Open App

夜の海。深い海。
太陽も月も食べてしまう。

波の音は遠くて近い。

波間の煌めきは、何かの蠢き。
星星に誘われて、ひたひたとやってくる。

「さかな」

窓の向こう、風に揺れるカーテンの端から魚籠(びく)が突き出される。

「いらないよ」
「やすい、うまい、おいしい」

死んだ魚の目が上向いている。
部屋の灯りは太陽の代わりになるだろうか。

「いくら」
「くっきー、にまい」

8/15/2024, 10:39:31 AM