夜の海。深い海。太陽も月も食べてしまう。波の音は遠くて近い。波間の煌めきは、何かの蠢き。星星に誘われて、ひたひたとやってくる。「さかな」窓の向こう、風に揺れるカーテンの端から魚籠(びく)が突き出される。「いらないよ」「やすい、うまい、おいしい」死んだ魚の目が上向いている。部屋の灯りは太陽の代わりになるだろうか。「いくら」「くっきー、にまい」
8/15/2024, 10:39:31 AM