いつ来るかわからなかったそのときを、迎えてしまったあの瞬間。そこまでに続く日々。
変化の兆しを見逃し続けたのは、無意識だったか、故意だったか。
ただ、ただ、怖かった。
急速に細く軽くなっていく身体を抱きかかえ、昼も夜もぐちゃぐちゃになった意識の中、何度も名前を口にする。
包んだ毛布ごと抱きしめて庭の木々の葉へ鼻先を近づける。乾いたそれは以前のように動くことはなく、ただ虚空を漂う視線は、もう、私を認識してくれない。
こんな日がくるなんて、想像もしていなかった。いや、したくなかった。ありえない。
あなたがいない日々が始まるなんてありえない。それは、すべての終わりの日だ。
まだ、何も返せていない。あなたにもらった救いを、恵まれた日々を、心あたたかく安らげた時間を、その感謝を伝えきれていない。
もっと先の未来まで続くと思っていた時間は、二度と重なることはない。
あなたを亡くしてからの日々は、長く辛く、空虚だ。
きっとこれから先も、この虚が埋まることない。
埋める必要もない。
あなただけのために、開けたままにしておきたいんだ。
そうすることでしか、これから先のあなたとの時間を重ねることはできないと知っているから。
『一年前』
5/8/2026, 12:51:40 PM