永身未来

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僕の青は何時迄もくすんでいる。ぐちゃぐちゃになったテストの解答用紙は、僕の机に乱雑に散らばっていた。机の上には、開きっぱなしの参考書やノート、辞典、椅子から手に取りやすい位置に転がっている文房具。その上に投げつけたかのようにぐちゃぐちゃのテストの解答用紙が落ちていた。時刻は夜中の二時。村のみんなが寝静まり、家の明かり一つもない。ただ、月明かりが眩しく、満月なのが一層、月明かりを強くする。僕のベットの上には脱ぎ捨てられた、しわくちゃな制服。学ランの金色のボタンが、月明かりに反射して星のように光る。制服の下の毛布はボロボロで、長いこと洗われず使われた事が見てとれる。枕は、頭の形に中央ら辺が黄ばみ、汚ならしい枕と、洗れていないのがわかるほどくちゃくちゃなシワだらけの毛布、脱ぎ捨てられた制服が、清潔感をなくす。部屋の入り口付近には本棚があり、参考書や問題集、単語集などなど、勉学に関するものが地面から天井まである本棚にビッシリと並べられている。照明をつけず、薄暗い部屋に1人。僕は窓を開け、外の景色を見ていた。深い青に月の光がじわりと滲む。時々、何かを伝えるかのように光っては消える光の点。それは僕の家の近くの山に落ちては消える。それは流星群だ。僕を絶え間なく吹き付けるそよ風が心地良い。カーテンがその風によって不規則に揺れる。それと同時にカーテンの影も、揺れるカーテンに追いつこうと必死に揺れる。そのタイミングは、ずれる事などあるハズがなかった。僕はふと、机の上のぐちゃぐちゃになったテストの解答用紙を見た。悲しいほど静かなこの部屋に、僕の形をした影がひっそりと佇んでいた。それは語るでもなく、動くでもなく、まるで目を、口を、耳を、失ったかのようで、ただ無感情に佇んでいた。影の中に見えづらくなった僕の部屋の一部は、ただ淋しげな、何も感じないような、そんな雰囲気をしていた。僕はまた、窓の方へと視線を戻し、月をただひたすらに見ていた。大きな、窓縁からはみ出るほどのデカい月を、その全体を捉えようと窓から身を乗り出し上を向く。月は闇夜に溶けるように淡く、儚げだった。その優しく冷たい月光が、夜を支配し、僕の部屋をも支配する。だが、月夜に滲む僕の瞳は、そよ風が慰めてくれるらしい。そして、月夜に吹くそよ風は、僕の部屋をほのかに照らしてくれるらしい。そよ風は冷たいが、僕という障害物に阻まれ、僕のすぐ後ろに行くはずの風が、僕に体当たりをする。そしてそのまま、僕を包み込んで、そのひんやりとしたまばゆい風が、視界の歪みを正していく。静寂に包まれた僕の部屋に、ヒタヒタと、窓のすぐ下の地面におつる音。それは僕の頬に光の線を描き、黒色に染まって落ちる。目尻に溜まったそれは、仕切りに月の光を反射させる。まるで月に照らされた湖のよう。だが、僕はそれに気付かないフリをして、しきりに、月を見た。白くて、黄色みがかった、大きな満月。その輪郭の周りには光の粒子が漂う。雲一つない星がよく見える夜。僕はただ、流星群を見ていた。

7/30/2025, 9:05:49 AM