けだるいツギハギ

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失恋(創作)

 学生時代、親友のるいから、惚気と愚痴をヤになるくらい聞かされていた。寂しくて死んでしまうだの、連絡が帰ってこないのは愛がないだの、るいの毎日の情緒不安定さに、恋というのは実にめんどくさいものなんだと呆れた。

 大人になってからも恋はしなかった。あたしはずっと消去法で人付き合いをしていて、ある程度、不快ポイントが貯まったら、男女ともに切り捨ててきた。そうすると、あたしと気性の合うやつと、ポイントすら貯まらないどうでもいい人達の中で過ごすハメになった。そして、惚気と愚痴に、子供と親と金が追加された。

 変わらないあたしと対比して、るいは結婚して良い方向に変わった。仕事はなんかのリーダーに抜擢されるし、家族の仲のいい写真をインスタにあげるし。なにより、どんなことをしても、るいはかわいかった。

 るいとはあまり話さなくなったけど、るいの人生の大半にはあたしがいることは忘れない。恋を失ったって、るいが居るだけで、るいを見ているだけで幸せだ。

 あたしが信号待ちで待っていると、るいを見かけた。知らない男と歩いていた。それから後をつけると、ホテル街にそそくさと歩いていった。

 るいはそんなことしない。いい子なの。あたしの見間違い。幸せを壊すバカじゃない。

 待っててね、るい。また話を聞かせて。

6/3/2024, 12:31:00 PM