たろ

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センシティブ表現あり。
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【I LOVE...】


長らく茶化して言い続けた言葉は、大切な人の心には届き難くなっているらしい。
『愛してる。』
耳や項まで紅くしながらも、大切な人は疑わしいとぼやくのだ。
「そう言っておけば、何でもするって思ってるんでしょう?」
拗ねたように膨れる頬を、唇で啄む。
「何言ってるのさ。何もしなくていいんだよ。全部好きだから。」
耳元で囁きながら、首筋に唇で触れる。
「ありのまま、そのままの君を好きになって、大好き過ぎて、離したくないのだから。」
抱き締めて、ゆらゆらと一緒に揺れる。
「産まれてからずっと、君しか見ていないよ。」
大切な人へと、伝えたい言葉が溢れ出す。
「―――っ!解った、解ったから!」
腕の中に静かに納まって、溢れ出た言葉たちを受け止めていた大切な人は、真っ赤な茹でダコの様な顔で振り返り、こちらの口元を手で押さえてくる。
「恥ずかしいから、やめて。」
蚊の啼くような声が聴こえてくるので、口元を押さえる手をそっと外させて、抱き締め直した。

「愛してる。」
溢れる思いも言葉も、揺蕩う静謐な空気も、大切なあなたを包む愛なのだ。

1/29/2024, 10:41:50 PM