Kira

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「わっ、きれー…」
「好きだろ?」

車から降りると一気に目の前に海が広がっている。
「うん、凄く久しぶりに来た」

彼が手を目の前に差し出す。
「ん?」
何も言わず、ただその掌を見せている。
「何よ?この手」


「……か…カップルじゃん。手繋ぐくらい…してぇじゃん」
「カップル…」

ずっと一緒にいたけど、それは小さい頃からで、私と彼はただの幼なじみ。
そう自分の中で割り切って生きてきた。

彼を好きだとは思ってたけど。
それは私だけが想ってた感情で。

もし彼に自分の気持ちを打ち明けたとして
彼にその気が無かったら私との関係も
二度とこうして会えなくなるかもしれないと思ったら

そんな事言えなかった。

でも…この手を今握ったら…

「ね、約束して!!」
「ん?」

彼女が少し離れて彼に手を差し出す。

「私のこの手握ったら…私の事……」


「一生離さないって約束して!!」


その言葉に彼がくすっと笑うとすぐにその手を掴む。

「今更何言ってんだよ、お前!!」


「ずっとずっと…一緒にいるだろ?小さい頃から。幼稚園の頃からお前の手一回も俺は離した事ねぇよ!!」

彼の指が自分の指に一気に絡み合うと
その強い力がすぐに伝わる。


「これからもずっと離したりしねぇよ」


episode 『手を繋いで』

3/20/2025, 3:13:50 PM