遊橙

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それを見て言いようのない不快感が心の中を占めた。

少年は上機嫌であった。最近なかなか一緒に行動ができていなかった青年と久々に街に遊びに行けるからである。
いつもなら一緒に町へ行くのを用があるからと、青年とは一時別れ待ち合わせていた。

行きたいお店、食べたいものを想像して上機嫌で待ち合わせていたら少し先で後姿の青年を見つけた。
声をかけようと近づこうとしたら、青年は女性に声を掛けられていた。ナンパをしているのであろう、青年を見る目は熱い。
断られることはないという自信が見え隠れしている。

青年はそんな視線に気づかず離れようとしていた。女性は引き留めようと熱心に見つめ何かを言っていて。
言いようのない不快感が心の中を占め、不快感を振り払うように青年に近づき声をかけた。

青年と女性はこちらに視線を向け、少年を見た。
女性を一瞬睨みつけるように見た少年は青年に早く行こう!と、腕を掴みその場から離れた。

少しして離れた場所で、少年は青年の腕を放し青年にふくれっ面を向け遅い!と言い放った。
青年は申し訳なさそうにすまないと言いながらじっと、少年を見た。

あまりに見つめられると恥ずかしくなるもので。視線を振り払うようにさあ、行くぞ!と青年の裾を掴み、行きたかった店の話をしながら歩きだした。

青年は少年を見て少し笑いああ、行こうかと、答え歩き出した。

3/29/2024, 12:25:35 AM