特盛りごはん

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『今日の天気は全国的に晴れ!……ですが、一部地域では急な雨にご注意を』

 人間の耳や脳とは良くできたもので。今日を洗濯日和と定めていた私は、後半の都合の悪い部分は聞こえない振りをした。一部地域でと言われる時に自分の地域が対象となった経験の少なさが原因とも言える。
 結局大丈夫だったね、と律儀に天気予報のお姉さんや親の言葉を守って持って出た折りたたみ傘の小さな重みを友達と共に後悔することの方が多いのだから仕方ない。微々たる重量の追加であろうとも学生のカバンは重いのだ。
 そうして庭に色とりどりのカーテンを広げ傘も持たずに家を出た私は今見事に後悔していた。

「なんで!今日に!限って!」

 思わず漏れる泣き言も土砂降りの名に恥じない上空からの容赦ない打ち水に掻き消されてしまう。
 無駄な抵抗と知りつつも学校から家まで果敢に走り続けた私の足は、自宅にも容赦なく雨が降り注ぐ様を見て力尽きた。とぼとぼと全身に雨を受けながら家へと入る。
 庭に干された洗濯物たちも私と同じようにずぶ濡れになっていることは明白。人間如きが自然に敵う筈もなかったのだと玄関で打ち拉がれる私に、先に帰宅していたらしい兄が二階から降りてきて言った。

「洗濯物取り込んどいたよ」



/神様が舞い降りてきて、こう言った。

7/27/2023, 9:35:50 PM