小絲さなこ

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「その瞳は僕を暴く」




あの子と目が合うと、つい視線を逸らしてしまう。
僕のなかにある最大かつ最悪な秘密を見透かされる気がして、落ち着かない。

誰にも言えない。
好きになってはいけない人を想っていること。
彼女と彼の仲が壊れることを祈っていること。


あの子と彼女は親友。
だから、あの子はきっと彼女と彼の幸せを祈っている。
友達の彼女のことを好きになった男なんて、確実に警戒対象だ。

彼女とどうにかなろうなんて、思っていない。
でも、友達とその彼女の仲が壊れることを密かに祈る自分は最低だと思う。

もしかしたら、あの子は気づいているのではないか。


ほら、またあの子と目が合った。
吸い込まれそうな瞳に、僕の心はざわつく。





────見つめられると

3/28/2024, 1:12:57 PM