3つかぞえて

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 牢屋は生きるにはあまりにも狭すぎた。見ず知らずの女のせいで捕まるなんて理不尽なことだった。もう今は何か、自分を許してくれるものがほしい。こんな街中では生きていけない。僕は急いで街を出た。

 大きな通りは苦手だ。自分がされた仕打ちを思い出してめまいがする。僕は急いで田舎へ向かった。

 移住先の村には僕の知り合いは誰もいなかった。近隣の方も優しく接してくれた。
 しかし8月20日のことだった。僕が逮捕されていたと言うことが村中に一気に知れ渡り、僕に声をかけてくれる人はいなくなった。
 
 僕は疲れてしまった。自分を許してくれる人なんてどこにもいなかった。僕はポケットの中に入れていた手紙を読んだ。荒々しく汚い字だった。しかし、この人しかいなかった。家の鍵を開けて待ってくれていることに有り難さまで感じてしまった。もう取り返しがつかないなら。僕は急いで身支度を整えた。街へ帰ろう。僕は今とても寂しいんだ。

1/28/2023, 10:21:55 AM