深夜徘徊猫

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「cute!」

 可愛いものは独り占めしたい。だって私は宇宙一可愛いのだから!

 なんて言ってみたいものだ。

 実際私の顔は中の下…いや、下の上か?だからメイクしないとお外に出られたもんじゃない。体型は可もなく不可もなく。どちらかと言えばあと少し落とした方がいいくらい。声も、仕草も可愛いとは思えない。

 可愛いものは好きだけどそれになりきれていない感じ。「かわいい」のではなく、「可愛い」という感じ。

 いつからこんなに自己肯定感が低くなってしまったの?いつから「かわいい」になりきれなくなったの?あの子はもっと「かわいい」のに。

 考えると、私が一番可愛かったのは小学校低学年くらいの頃。

「cute!」なんて英字で書かれた今となってはだっさいTシャツ。クラスで一番「かわいい」と言われていた子が着ていて駄々こねて買って貰ったのをよく覚えている。大事なのは素材なのに。

 それを着て外に出て自分の「可愛い」をひけらかそうとしたら雨が相反して降ってきた。転んで、泥だらけになった。せっかくの「可愛い」お洋服が見るもの無惨な姿になった。どうでもいいやと思って水たまりに飛び込んだ。可愛さのかけらもない行動だった。

 「cute!」の文字も見えなくなって顔も泥だらけだったけど、それでも、

 もしかしたら、あの時だけは、誰かの殻をかぶったのではない、私だけの「かわいい」で全てが満たされていたのかな。

2/27/2025, 3:36:48 PM