No.13『ひとりぼっちのクリスマス』
散文 / 掌編小説
仕事からの帰り道、少し遠回りして電飾屋に寄った。自分の悪い癖が出て何時間か悩んでしまったが、足りない分はこれでなんとかなるだろう。
「ただいま」
その声に返事はない。玄関で靴を脱ぎ、揃えていたところで飼い猫のルルが擦り寄って来た。
「なんだ。起きてたのか」
頭を撫でてやろうとしたらかわされた。気まぐれだとの通説のままなルルは容赦ない。
「さてと」
部屋着に着替える前にリビングに向かい、昨日、届いた電飾を確認していく。どうやらこれで足りそうだ。ただ、自分ひとりで飾れるのかどうか、少しばかり不安が残るのだけれど。
君がいないクリスマス。いかに君に頼りっぱなしだったか痛感する。ひとり息子の聖夜は年末まで帰って来ないが、君がいないからといって、君が楽しみにしていた毎年恒例のハウスイルミネーションを絶やすわけにはいかない。
「さて。どうしたもんか」
何箱もの段ボール箱に詰められた電飾を庭に運び、わたしは思わず独りごちた。
お題:イルミネーション
12/15/2022, 5:12:53 AM