ストック1

Open App

俺は日陰の身
決して注目されることはなく、誰に称えられることもない
しかし、確かに俺の行動は誰かを助けている
それが俺の誇りだ
日陰こそが俺の居場所なのだ
人が輝くほど陰は濃くなり、俺の存在は認識されなくなるだろう
それでいい
俺は目立つことが嫌いだ
それでも誰かの役には立ちたい
そんな願望は持っているから、俺は日陰で働き続けることができるのだろう
極端な話、感謝なんてされなくても、相手の力になれたのなら、それだけで満足できる
欲が無さすぎる、などと言われたこともあるが、逆に言えば欲が浅い分幸せになるハードルは低いわけで
そこは自分の長所だと思う
俺は輝く人や、輝きたい人のために、日陰で協力をする時が一番幸せなんだ

ある日、いつものように仕事をこなしていると、高い実力を持ち、皆から頼られるが、別の道へ進むために今日でやめる人が、俺の元へ小走りで来た
何かと思って相手を見ると、その人は笑って言った
「君が人知れず頑張ってくれたおかげで、働いてる間、ずっと仕事がやりやすかったよ
こんなことを言うのは君が嫌がるかもしれないけど、君の活躍、見てる人は見てるよ
これからも陰から皆を支えてあげてくれ」
俺は動揺しながら変な声で感謝の言葉を言い、「じゃ」と手を振る彼の背中を見送った
たまには、褒められるのも悪くない、かな
これからも変わらず頑張ろうと、俺は改めて思うのだった

1/29/2025, 11:06:05 AM