"凍える指先"
部活動最後の大会で、震えた指先をなんとか鎮めていた。
寒さだけではない、心の未熟な部分が指先を小さく震わせていた。
最後の個人戦
これまでの努力が報われる瞬間であり、これまでの努力が水の泡と化す可能性を今一度に持っている。
心の中で、
これまでの努力の全てを出し切るという熱い思いと、
これまでの努力が水の泡になるという確信めいた冷たい思いが交差して、何も考えられなくなる。
冷え切った頭の中では思考なんてもってのほか、これまでしてきた練習を思い返すこともできない。
ふっとひとつ息を吐いて、今の状況を他人事のように鑑みる。
不思議と思考が溶けてきて、今までの日々を反芻することができた。練習するときは何を思っていたか、今この場に立つ自分をどう思い描いてきたのか。
それだけじゃ足りない。
いまの私に、その足りないものを理解することは叶わなかった。
絶望と似たものを感じる。
だが始めてしまえば全て終わる。そう自らに言い聞かせて今、凍える指先を掌に隠した。
12/9/2025, 3:08:41 PM