無音

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【40,お題:時を告げる】

朝焼け前の薄暗い空気の中、小柄な少年が塔を登っていた
まだ肌寒い季節、茶色のローブを羽織って一歩一歩と踏みしめながら
石の階段を上がっていく

塔の上に付く頃には、辺りは明るくなり
東の空から太陽が覗き始めていた

ちょうどいい時間だな

少年は、太いロープを小さな両手で握り締め、思い切り打ち鳴らした

ゴーン...ゴーン...ゴーン...ゴーン...

その音は、夜明けの森に 街に 海に 空に 高らかに鳴り響いた

その音で人々は目を覚まし、動物達は歌を歌う 風は踊り 海は波音を響かせた

澄んだ朝の空気を胸いっぱいに吸い込んで深呼吸をする
ザァァッと風が頬を撫でていった

鐘を打ち鳴らして、時を告げる少年は
次の鐘の時間まで、塔の奥に消えていった。

9/7/2023, 9:47:50 AM