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「今日も迷える子羊たちに救いを…」
そう祈ってる時に、声をかけられた。
「あの、シスター。」
「どうされたのですか。迷える子羊。」
こんな古びた教会にやってくるくらいだから、
さぞ懺悔したいことがあるのでしょう。
「僕、死後の世界を考えてしまうんです。」
「死後の世界。」
死んだらどこに行くのか。
不安は多いでしょう。
そう言うと彼は口を開いて言った。
「はい。僕、天国と地獄について、
考えてしまうのです。」
「天国と地獄…」
こんなパッとしない悩みだとは思ってなかった。
天国も地獄もどちらも何も無いのだから。
そう私は考えている。
「では、貴方には私の考えをお送りしましょう。」
私はそういい、あることを言った。
「天国も地獄も人が作った空想です。」
夢のない答えだが、これが私に出せる答えだ。
私の崇拝していた神も何も無い。
ただ、
何も無い私に出せる答えがこれでしか無かった。

5/27/2024, 12:32:48 PM