「先生っ!めりーくりすますです!」
両手に大荷物を抱えた私を見た先生は驚いたように目をギョッと大きくしたあと、直ぐに重いでしょって特段と重かったバックを持ってくれた。
そういう気遣いができる大人なところがすきだ、とまた好きなところが増えてしまう。
あぁ、先生ってば罪な人。
そんな仕草で私の心を無意識にも乱して堪らなくさせる。
「……Merry Xmas。貴方にプレゼント、」
突然そういった先生は私の前に小さい箱を見せてくれた。
ベロアの生地でできた箱は指輪なんか入ってそうなやつで、先生にプロポーズされる女性は羨ましいなぁなんて頭の片隅でぼんやり考えていた。
やけに冷静になってしまうほどこの状況が信じられない。
「あ、え……私に、…?」
「うん、女の子はこういうの好きかなって。あぁ、でも気に入らなかったら全然……ぇ、泣いてる!?」
ポロポロなんて可愛い表現で足りないほど涙が溢れて止まらない。
だって、だって先生が私のために時間とお金をかけてくれたのがうれしくて。
こんな素敵なプレゼントしてくれるってことは少なくとも嫌われてはないってことでいいのかな。
先生にこんなにも大事にされて自惚れてしまいそう。
「だ、だって…嬉しくて…っ、先生ありがとう…。家宝にする……。」
「もう、やっぱり大袈裟なんだから。」
くすっと笑った先生は私の手からネックレスをとって、後ろへ回った。
先生の手の中で黒が揺れる。
「つけてあげる。きっと貴方によく似合うよ」
先生の柔らかい指先に髪の毛をすくわれる。
細い腕が首にまわって胸元に落ちた黒が陽の光をうけて眩く光る。
「ほら、やっぱり似合う。綺麗、」
「ありがとう、…ございます……。」
ニコニコとそれは嬉しそうに笑う先生が可愛くて好きが溢れてしまいそうでぎゅっと口を噤む。
いま口を開いたら余計なことまで口走ってしまいそうだったから。
「その宝石には厄除けの効果があるからきっといい方向に導いてくれるはずだよ。」
お願いね、と私の胸元の黒に小声で話す先生に言葉に言い表せないほどの愛しさが込み上げた。
ばくばくと心臓が嫌な音を立ててこの空間が落ち着かない
どうしよう、この人のことがどうしようも無いぐらい好きだ。
「じゃあ、貴方も来たことだしケーキでも買いにいく?」
「…はいっ!私ショートケーキがいいです!」
純白の生クリームは苦手だけど、醜い私の気持ちを隠す白いクリームが今無性に食べたい。
汚い想いを隠して先生の隣に並ぶ私を許して先生、
2023.12.23『プレゼント』
12/23/2023, 11:11:15 AM